手が不自由な人、寝たきりの人の遺言書作成

手が不自由な人、寝たきりの人の遺言書作成

手に障害があってうまく文字が書けない人が遺言書を作ろうと思った場合や、寝たきりの人が遺言を残そうと思ったときなどは、どのような方法で作成すればよいのでしょうか。高齢者が遺言を作成する機会は多いので、このようなご相談は結構頻繁にあります。

カセットテープやビデオテープで遺言しても有効?

字が直接書けない人にとっては、すべて自分で手書きで書かなければならない自筆証書遺言という形式では、遺言を遺せないことになります。

それでは、ビデオレコーダーなどを利用して、映像や音声で遺言を作成できないでしょうか。実際、手が不自由な方や高齢の方が遺言をしようとお考えになる場合、このような方法を検討されることも多いようです。しかしこれらの方法では、法的に有効な遺言とは(今のところ)なりません。

遺言としては無効でも、相続争い対策としては有効

前述のように、ビデオテープなどを利用して有効な遺言を作成することはできませんが、遺言者がどのような思いで遺言を作成したのかを映像として遺しておくことは、相続人同士の争いを回避する点では大変有効に機能することも多いようです。

仲の良い家族であるからこそ、故人の遺志を汲もうという思いがそれぞれの相続人において強くなり、意見の相違から争いごとに発展してしまうこともあります。このようなとき、ビデオテープなどで遺言者の思いが確認できれば、遺言の内容に納得して相続をすることができるからです。

また、かなり高齢になってから遺言書を作ったという場合にも、映像や音声の活用は検討してみるべきではないでしょうか。高齢者の遺言というのは、相続人に「はたして認知症などではなく、しっかりとした意志のもとに遺言を遺したのだろうか?」という疑念を抱かせてしまう可能性が高くなるものです。このようなときにも、ビ デオテープなど映像が残っていることで、遺言者の思いをより正確に伝えることができます。

遺言とあわせてビデオテープなどの動画を利用する際の注意

ビデオテープなどで遺言者の思いを補完するにあたって、十分注意していただかなければならないことがあります。それは、遺言の内容と矛盾すること や、遺言の内容をあいまいにしてしまうことは決して口にしないということです。遺言書とビデオテープの内容が矛盾してしまっては、遺言者の思いを補完する どころか、相続人の争いの火種を残すことになりかねません。

公正証書遺言を活用する

手が不自由な方が遺言を作成しようとするときは、公正証書遺言を活用するのが便利です。公正証書遺言であれば、遺言書を遺言者が自筆で書く必要はありません。

遺言の内容は公証人が読み聞かせてくれますので、確認して承諾し、文字が書けないため署名できないことを公証人に付記してもらいます。(民法969条4号参照)

寝たきりの人の遺言書作成:公正証書遺言の活用

公正証書遺言は、上記のように自筆で全文を書く必要がなく、署名も公証人の付記で代えることができます。また公正証書遺言は、公証人に自宅などに出張してもらって作成することができますから、寝たきりの人が効果的な遺言を残そうというときにも活用できます。

公証人に出張での遺言作成を依頼する

公証人に自宅や病院などへ出張を頼んで遺言書を作成するときは、公証人の手数料割増と日当が別に必要となりますので、費用の面は事前に確認しておきましょう。手数料が50%増しになるほか、時間によって公証人の日当を加算することになります。

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