自筆証書遺言とは
自分で直接書いて残す遺言書
自筆証書遺言は、遺言内容をすべて自筆で書いて残す形式の遺言書です。映画や小説などに出てくる遺言書のイメージは、この自筆証書遺言が一番当てはまるのではないでしょうか。ここでは、自筆証書遺言のメリットとデメリットを説明します。自筆証書遺言のメリット
自筆証書遺言には、以下のようなメリットがあります。
- 自分だけで作ることができる
- 誰にも内容を知られずに作ることができる
- 費用や証人などが必要ない
遺言の内容を紙に書いて、名前や日付、印鑑を押すくらいで完成してしまいますから、自分一人で作ることができます。また証人の立会いや公証人との相談なども必要ありませんから、遺言内容を誰かに知られてしまうという心配がありません。書類を集めたり、証人を探したりといった手間もかかりませんから、思い立ったらすぐその日に作ることも可能でしょう。
自筆証書遺言のデメリット
手間や費用がかからず、作りやすいというメリットがある自筆証書遺言には、以下のようなデメリットがあります。
- 書き残しても紛失してしまうかもしれない
- 誰かが隠匿、または内容を改ざんする可能性がある
- 法律的に無効の可能性がある
- 本当に故人が書いたものか信用されない可能性がある
- 相続時に、家庭裁判所で検認という手続きを経る必要がある
自筆証書遺言は、誰にもすぐわかるところに置いてしまうと、遺言内容を見た相続人が自分に不利だと思い隠匿してしまうかもしれませんし、内容を一部書き換えてしまうかもしれません。だからといって、それを恐れてわかりにくいところに隠しておくと、誰一人として遺言の存在に気がつかず、遺言書はなかったものとして遺産分割が行われてしまうかもしれません。
また、証人の立会いなどが必要ないということは、逆にいえば本当に本人が書いたものかどうかの信頼性が低くなるということも意味します。特に、病床で遺言を残したなどという場合には、本当に故人が書いたのだろうか?故人は認知症などではなく、しっかりとした考えのもとに書いたのだろうか?と、死後にあらぬ疑いをもたれてしまう可能性があります。
相続時においては、自筆証書遺言はまず家庭裁判所に検認という手続きをしてもらう必要が生じます。検認手続は相続人が揃う必要がありますし、また手続きが行われるまでしばらく待たされることもありますから、それまで相続財産が保留の状態になってしまいます。
さらに一番の問題は、誰も法律的に有効であるかどうかのチェックを行いませんので、遺言書に何らかの不備があり、遺言としてまったく機能しない無効なものであると判断されてしまう可能性もあるということです。
争いの心配がなく、遺言書の内容を知られても大丈夫なら
自筆証書遺言は、上記のようなデメリットを持つ形式の遺言ですから、保管などには注意を払う必要があります。誰か信頼できる人に遺言書を託しておくか、銀行の貸金庫などに預けておくといった保管方法をとることになりますが、それでも貸金庫から出してすぐに破棄される危険性も否定できません。もし相続人同士が争う可能性があるのであれば、公正証書遺言で残すことも考えてみましょう。
自筆証書遺言は、封筒に入れて封印をすれば内容を見られる可能性は低く抑えられますが、万が一見られて破棄されてしまうと、公正証書遺言のように原本が別に保管されているわけではないので、遺言が無駄になってしまいます。
この形式の遺言は、たとえばあなたの配偶者と兄弟姉妹が相続人となる場合などに、今まで住んでいた土地と建物だけは確実に配偶者に引き継ぎたい、というときなどに利用を検討することになります。こういった状況であれば、配偶者に直接遺言書を渡しても破棄される心配はないでしょうし、また兄弟姉妹には遺留分がありませんから、家や土地を争う心配もほとんどないはずだからです。
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